チョコレートかけのオレンジ
人生の折返し地点を通過した現在、おやつを摂る機会は減少の一途を辿っている。
軽い空腹時、俗に言う「小腹が空いた」時に間食をする事は良くあるが、それを「おやつ」と呼ぶのは憚られる。
「おやつ」には情緒が必要だ。空腹に対するリアクションではなく、摂取する行為そのものに喜びを感じなければならない。
例えば、子供にとっての「おやつ」はその一日における一大イベントだ。その一日のマイルストーンである。
「おやつ」までに溜め込んだ期待感、「おやつ」を迎えた瞬間に爆発する歓喜、「おやつ」にはそういうものが必要だ。
小腹を満たすことが「おやつ」ではない。手が汚れにくいという理由で、機能で選んだお菓子を食べる行為は「おやつ」ではない。
童心がそこに在るか?「おやつ」にはそれが必要だ。
童心を取り戻す余裕、悔しいが今の僕にはそれが足りていない。
§
「おやつ」に食べたいお菓子が一つある。
ただ、それは叶わぬ願いだ。
そのお菓子は既に製造が終わっているのだ。
お菓子の名前は、ロッテ「ジャフィ」。
1978年10月の発売。
小麦胚芽ビスケットの上にオレンジジャムを乗せチョコレートでコーティング。
ジャフィはそんなビスケットだ。
オレンジの酸っぱさとチョコレートの甘さのマリアージュ。
最後に食べたのは恐らく40年近く前。それでも、あの美味しさ、手に付いた、溶けたチョコレートを今でもはっきりと思い出せる。
1987年のジャフィのCM。
プレミアムビスケットであることが子供にも伝わったパッケージのデザイン。
セリフ体、深緑のキーカラー、金貨。
懐かしい。
食べたい。
§
何かをしたい時、無意識の内にGoogleで検索する。
そしてニーズはほぼ満たされる。
どうやらUKに類似品があるみたいだ。
「Jaffa Cake」という名称で。
Amazonでも取扱いがある。
12枚入りで¥1,758ということは1枚135円ほど。
なかなかいい値段だ。
そしてどちらの商品にも共通する「Jaffa」という言葉を調べてみると、オレンジの品種であることが分かった。
しかしAmazonは高い。
Kaldiにはないのだろうか。
ありました。
「メッシーノ」
まるでアルフォートみたいなパッケージだ。
もう一つ、流行のDIYという方法もあるだなも。
§
本物のジャフィにはもう会う事が出来ない。しかし、それに近い体験はどうやら出来そうだ。
ポストジャフィを口にした瞬間、僕は何を思うのだろうか。
キーワードはチョコレートとオレンジ。
チョコレートとオレンジのフュージョン。
時空を越えろ SWEET MEMORIES
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