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トリアナのブログ。

コラム

Fuji

先日泊まった成田のホテルから撮影。No effect
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しげの

先週、クライアントが主催するイベントへ参加するため上京した。2泊3日、イベント当日の東京入り、翌日は丸1日人に会う予定はなし、最終日は成田空港より午前中のフライトというスケジュール。2日目の移動時間以外の空いた時間はほぼ仕事をした。リモートワーク@東京だ。今までも出張中に喫茶店やファーストフード店に入って仕事をしたことは何度もあった。今回も適当な場所で、カフェ等で仕事をするつもりだった。ただ今回はzoomMTGの予定があった。zoomは雑踏の中ではしたくない。周りにも迷惑だろうし、こっちも周りに気を使う。カフェ以外の場所を確保する必要があった。

前回東京へ行ったのは6月だった。その時、僕は地下鉄の駅にある「ある物」が気になっていた。健康診断の聴力検査の時に入るボックスのようなその施設の正体はCocoDeskという仕事をするためのミニブースだった。昔はここに証明写真を撮る機械があったよなという場所は、尽くCocoDeskにそのスペースを明け渡していた。

東京初日に日比谷線の東銀座駅のCocoDeskに備え付けられていたリーフレットを1部拝借した。イベントに参加した後ホテルにチェックイン、そこでリーフレットを読んだ。どうやらCocoDeskを利用するためには会員登録をする必要があるらしい。前回の東京滞在時にCocoDeskの横は通ったが、ドアがどのような構造になっているかなんて気にも留めていなかった。当たり前だがドアは施錠されている。会員登録後、希望する日時を予約してその予約時間に施設のドアの前でWEBから解錠するシステムのようだ。ちなみにアプリではなかった。PWAのWEBだった。

施設予約をする画面は完全モバイルファーストなUIだ。ビジネスマンが外出中に予約を取る、そんなコンテキストを思い描き画面設計された感じだ。しかし、UIがあまりイケてない。改善の余地は多いにある。いや、むしろビジネスアワーに情緒はいらないというハードコア思想に基づいて設計されたのか?そうなのであれば僕もまだまだ経験が足りない。

東京2日目の朝、その日の夜は明朝のフライトに備えて成田へ移動しないといけないため1日目の宿泊地東銀座から千葉方面の間でブースを探した。第一希望は東葉高速線八千代緑が丘駅内のブース。zoomMTGは15:00から、その日の夕方は東葉高速線東葉勝田台周辺で仕事がしたかったためだ。東葉勝田台は昔僕が使っていた駅だ。ノスタルジーに浸り仕事をしたかったのだ。しかし残念ながら八千代緑が丘は予約済み。予約は15分単位で取るのだが、14:00〜17:00が埋まっていた。CocoDeskの料金は1枠15分税込275円だ。3時間ということは税込3,300円。「高い!良くそんな長時間使うな」と思ったが、考えてみるとコインパーキングが1時間1,500円も2,000円もする土地だ。大分で生活する僕とは感覚が違うのだろうとまとめた後、千葉県内の別のブースを探した。都内でzoomをした後に千葉へ移動しようかとも思ったが少しずつ東へ移動しつつラン・アンド・ガンで仕事をすると決めていた僕の決心は無駄に固かった。元千葉県民だが聞き覚えのない施設「イオンモール船橋」内にもブースがあった。予約状況を見てみたところ全く予約が入っていなかった。早速予約をした。zoomは30分だが開始前と終了後にバッファは必要だ。前後15分も予約したので結局1時間予約することになった。利用料金は税込1,100円。支払はクレジットカードのみ。会員登録時に一緒に登録する必要がある。

時間が近くなった。東葉高速線東海神という駅で下車し、zoomMTGに参加するためにイオンモールへ向かうという恐らく人生最初で最後の時間を過ごした。ブースはフードコート横のトイレ近辺に設置されていた。30分くらい早く着いてしまったので時間を潰すためにフードコート内のミスドでアイスコーヒーを注文。支払いはSuica。東京に来て現金を使ったのは前日夜のラーメン店での支払だけだ。後は全てSuicaだ。Suicaがなければ何もできない。SuicaはiPhoneの中に入っている。iPhoneに人生を預けている。時代は変わった。受験勉強っぽいことをしている船橋の高校生に混じり、アイスコーヒーを飲み、メール処理をしてCocoDeskの予約時間を待った。

予約前5分になった。あまり経験したことのない緊張感に襲われた。このブースに入るところを人に見られたくないと思い出したのだ。そして入室すると1時間をそこで過ごさなくてはいけない。直前に飲んでいたのは利尿作用の高いアイスコーヒー。これはトイレに行くべきだと判断した。トイレから出るとちょうど予約前1分だった。iPhoneのブラウザに表示されている「解錠」のボタンをタップした。引き戸形式のドア付近から「ウィン」という機械音が鳴った。自動ドアではないので「ウィーン」ではない。あくまで解錠のサウンドだ。キョロキョロしながら入る方が目立つぞ、自然に振る舞え、僕の悪癖、自意識過剰を押さえつけ入室した。部屋は、聴力検査のブースよりも少し広い。デスクとチェアがあり、24インチぐらいのディスプレイも壁に備え付けられていた。デスクの上には無造作に置かれたHDMIケーブル。電源口は2つ。小型の卓上ファンも置かれていた。出張者を意識しているのかチェアの後ろにもやや空間がある。「スーツケースと一緒に入れるスペースは確保しよう」という富士フィルムの開発チームの声が聞こえてきそうだ。

「富士フィルム」

そう、CocoDeskは富士フィルムが展開するサービスなのだ。お正月を写そうの富士フィルムだ。フィルムの会社なのに、最近は化粧品やサプリメントの広告ばかり出しているあの富士フィルムだ。

カメラはデジカメにシェアを奪われデジカメはスマホにシェアを奪われた今、富士フィルムが50年前と同じビジネスモデルで経営できる訳はない。Wikipediaによると写真フィルムの売上は2009年1月には全体の売上の5%にも満たなくなっている。

だからCocoDeskなんだ。進化したんだ、富士フィルムは。

僕が最後にフィルムを触ったのは恐らく小学生の時だ。現像された写真とネガ、そして透明のケースに入ったフィルムが無理やりに写真用封筒に入れられ膨れていた、それを見たのが最後だ。その後、写ルンですは触ったことがあったが、あれはフィルムを触らないタイプだ。だから僕は今まで富士フィルムとほぼ接点を持っていない。フィルムを作っていた会社は、その存在意義を歴史に真っ向から否定されてしまった。でも進化した。逆境が進化させてくれたのかもしれない。今のビジネスがあと何年続くだろう?僕もWEB制作を生業としていて、この先どうなるか分からないビジネスをしている。僕は逆境に適応できるか?進化できるか?WEBを誰も必要としなくなった時に、僕には何ができるか?船橋のイオンモールのCocoDeskを後にして次の目的地に向かっている電車の中で自問自答した。駅や公共施設に一人用オフィス向けブースを設置するアイデアももちろん斬新だが、一番感動したのは完全にWEB化されたそのブースを利用する一連の仕組みだ。ユーザー体験を徹底的に考え抜いたこのサービスが、昔はカメラのフィルムを作っていた会社によって生み出されたんだってことが、歩く距離が非常に長くなっていて疲労感が大きい身体も相まって僕を妙な躁状態にした。大人になってようやく、カメラを介さずに富士フィルムと邂逅した。富士フィルムCoolじゃん、進化はCool、その感動に興奮しつつ次の目的地、東葉勝田台で下車した。

少しだけ東葉勝田台近辺でタスクを消化した後、最終目的地の京成成田に着いた頃は夕暮れ時だった。駅前のビジネスホテルにチェックインして渡された部屋のカードキーは11階のものだった。部屋に入りカーテンを開けると、驚いた、富士山が見えたのだ。直線距離で150kmも離れた富士山が見えたのだ。富士山・ビハインド・サンセット。僕はフィルムを使わずに富士山の写真を撮りました。アイキャッチの写真がそれ。スマホの人はピンチアウトしてみてください。富士フィルムのCocoDeskを利用したその日の夕暮れに出会った景色がこの富士山というよくできたお話でした。Think 進化。

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しげの 執行役員

モットーは「メメント・モリ」。クライアントの課題を知恵とアイディアで解決していきたい。そして盛大に打ち上げをしたい。ご連絡お待ちしております。

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